肌のはたらき
肌(皮膚)は、人体最大の器官と言われています。
全身を覆っている肌は、厚さ2mmほどの薄い膜状ですが、肌全体を1枚に広げた面積は成人で約1.6㎡。およそ畳1畳分の広さになります。
また、肌の総重量は体重の約16%を占め、体重50kgなら約8kg。内臓の中でも重いとされる肝臓でさえ1.2~2kgほどと言われているので、いかに重いかがわかります。
もちろん肌はその大きさだけでなく、脳や心臓などと同じく重要な器官の一つとして、外界との境界線で生命活動を守り、常に健全な状態を保つための大切な働きをしています。
肌には主に次のような働きがあります。
- ■バリア機能
- 肌の外側から紫外線、ほこり、アレルゲン、細菌、ウィルスなどの刺激や異物が体内に入るのを防ぎ、体内の水分が蒸発するのを防ぎます。
- ■感覚機能
- 肌には感覚器としての働きがあり、痛い、触れた、押された、熱い、冷たいなどを感じて脳に伝えます。
- ■体温調節機能
- 暑いときは、毛細血管を広げて熱を逃し、汗を出してその気化熱で体を冷やす。逆に寒いときは、毛細血管を収縮させて熱が逃げるのを防ぎます。こうして体温を一定に保つように調節しているのです。
- ■経皮吸収機能
- 様々な物質を肌の表面や毛穴、皮脂腺などを通じて吸収します。湿布薬や狭心症の貼り薬などは、この働きにより効果を発揮します。
- ■分泌・排泄機能
- 汗や皮脂を分泌します。また、同時に老廃物の排泄も行います。
- ■貯蔵機能
- 肌の皮下組織に、脂肪をエネルギー源として蓄える働きがあります。
肌のしくみや機能など肌について深く知って理解できるようになれば、自分の肌状態を正確に把握できるようになり、的確なケアや健康維持に役立ちます。
ひとくちコラム
「肌がなければヒトは生きられない」
肌は、体の器官の中でも手で触れ、目で見ることのできる身近な存在だけに、その働きを意識することは少ないかもしれません。でも、もし肌が全く機能しなくなったらヒトは生きていけません。 私たちは、肌がきちんと働いているおかげで、炎天下にいても干からびることはないし、お風呂に浸かっても体内にお湯が入り込んで膨張することもありません。また体温が上がれば汗を出して体を冷やし、熱湯に触ると「熱い!」と感じるので火傷などの危険から身を守る行動ができます。私たちは常に肌に守られながら生きているのです。